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新型コロナウィルスのサイバー空間への影響
2020-03-19

現在、非常に興味深い状況にあります- 世界は「現実の世界」だけでなく、サイバー空間でも前例のない激しい攻撃を目の当たりにしています。この2020年を迎えるにあたり、米国と中国の貿易戦争により経済状況が不安定となることはある程度予測されていましたが、まさか新型コロナウィルスの世界的な大流行に直面するとは考えてもいませんでした。

CYFIRMAのリサーチチームの調査

医療関係者がCOVID-19ウィルスと戦い、各国が自粛や閉鎖ムードにあり、世界経済がバランスを崩している一方で、サイバー空間では別の戦争が激化しています。

昨今、より複雑化した攻撃手法によりサイバー脅威とリスクは増加しています。ハッカーの技術がかつてないほど急速に進化し、高度な技術と、洗練されたソーシャルエンジニアリングが融合されています。現在発生しているウィルスの世界的大流行により、国家および企業のあらゆる準備力と回復力が試されているのです。

“CYFIRMAの脅威ビジビリティ&インテリジェンスをベースにした調査によると、2月から3月上旬にかけて新型コロナウィルスの大流行に関連するサイバー脅威の痕跡が600%以上大幅に増加していることが判明しています。”

サイバー脅威の痕跡とは、ダークウェブ、ハッカーフォーラム、および非公開の機密性の高いコミュニティにて検知された会話を意味します。これらの情報源からCYFIRMAリサーチチームが確認できた内容は、各国政府や企業にとって決して良い知らせではありません。ハッカー達は懸命に働いており、政治的および金銭的目標を達成するために、現在の恐怖と不確実で混乱している状況を悪用する方法を積極的に検討しています。

米国コンピューター緊急事態対応チーム(US-CERT)は、人々をだまして個人情報を窃取したり、偽の慈善団体にへの寄付を促すような、詐欺に関する警告を発表しました。連邦取引委員会(Federal Trade Commission)も同様の詐欺について警告しています。

“CYFIRMAリサーチチームに加え、複数のセキュリティベンダーは、攻撃者が人間の不安を逆手に取った脅しの策略を用い、LokiBot、RemcosRAT、TrickBot、FormBookなどのマルウェアを拡散したことを報告しています。”

これらハッカー達のコミュニティは広範に広がり、広東語、北京語、ロシア語、英語、韓国語で会話し、不足の事態への備えが十分ではない国や企業に大混乱をもたらすキャンペーンを次々に実行しています。

ダークウェブのハッカーフォーラムでは、香港のグループが中国本土をターゲットとした新しいフィッシングキャンペーンを実行する計画を立てていました。このグループは、中国共産党に責任を負わせることにより、不信感を生み出し、社会の不安を扇動することを目指しているようでした。

ハッカーの会話をより深く分析した結果、台湾のグループも同様のフィッシングやスパムキャンペーンについて議論しており、中国本土の影響力のある人物をターゲットにして、さらなる不安を引き起こそうとしています。

韓国語を話すハッカーは洗練されたフィッシングキャンペーンを使用して金銭的利益を得ようと計画しており、機密情報を窃取するマルウェアを備えたEMOTETの新しい亜種を作成しています。(EMOTETは2014年に最初に検出されたマルウェアであり、 2019年もっとも拡散されたマルウェアの一つです)これらのハッカーは、日本、オーストラリア、シンガポール、米国をターゲットにすることを計画していました。

CYFIRMAリサーチチームは、韓国の企業を標的とする北朝鮮のハッカーを検知しました。彼らはフィッシングメールの受信者をだまして開封させ、そこから彼らのマシンやネットワークにマルウェアを拡大させるために、「コロナウィルスに関する通知」という意味の韓国語を表題として使っています。

COVID-19に関連し、多くのハッカーグループが、疾病管理センター(CDC)や世界保健機関(WHO)などの権威ある団体を騙った偽装メールを使用していることが検知されました。これらの偽装メールの件名と内容は病気の最新情報や治療法など非常に人々の関心をそそる文面です。

また、企業の経営層からのメールのように偽装され、すべての従業員に送信された新型コロナウィルスをテーマにした偽装メールも検知されました。企業ネットワークに感染するマルウェアが埋め込まれたこれらのフィッシング攻撃は、ソーシャルエンジニアリング戦術を展開してデータや資産を盗みます。

データを盗むためのサイバー攻撃以外に、中国、日本、米国でビットコインを使用したマスクや健康用品を販売する偽のウェブサイトの計画も検知されています。

問題を悪化させるために、ハッカーは偽のニュースを拡散し、さらに混乱を招く戦略も立てていました。ダークウェブ市場を調査することにより、CYFIRMAはCOVID-19ウィルスの治療と根絶を主張するオーガニック医薬品を販売する違法グループを発見しました。ハッカーのコミュニティでのこれらの議論は、北京語、日本語、英語で行われていました。

“「CoronaVP」と呼ばれる新しいマルウェアについての議論が、ロシアのハッカーコミュニティで確認されています。これは個人情報を盗むように設計された新しいランサムウェア、またはEMOTETの亜種の可能性があります。”

COVID-19のパンデミックを悪用するハッカーの動機は、金銭的利益と、社会的混乱を引き起こす政治的スパイが存在しています。サイバー空間の犯罪者達は、金銭的および政治的目的の両者を達成するためのツール、技術、知識、および資金を十分に備えています。デジタル化が進んでいる現在の世界では、サイバー犯罪は収益性の高いビジネスであり、世界経済にパンデミックが影を落とし続けている状況下において、攻撃の頻度と洗練度が高まることが予想されます。

サイバーインテリジェンスのフィールドの中で我々が得た重要な学びは、警戒を続けていくことの重要性です。そして、ビジネスにおいて最も危険な要素は、往々にして目に見えないものです。 自分たちに関連した脅威インテリジェンスをタイムリーに活用することの重要性は強調するまでもありません。サイバー脅威を早期に検知することで、企業は多大な金銭的損害や不可逆的なブランド損害から自社を守れるからです。

https://www.cisomag.com/cyberthreats-due-to-coronavirus/